1000年の歴史・阿蘇の野焼きと放牧 アニマルウェルフェアとの関係

1000年の歴史・阿蘇の野焼きと放牧 アニマルウェルフェアとの関係

阿蘇地域で行われる野焼き。
枯れ葉を焼き払い、新たな芽吹きを促すために行われます。
一説によると約1000年前から行われている歴史ある営みです。
野焼きによって有害な虫を駆除するとともに、牛馬が食べる草を育てることができるのも特徴です。
また、野焼きは牧草地だけでなく私たちの生活や農業で必要となる水も守っています。大きな木が育たない土壌の阿蘇地域では、野焼きを行い、草原を維持・管理することが草原が蓄える水量を保つことにつながるのです。 
野焼き
放牧をするには広大な草原はもちろん、牛の適性が必要となります。寒暖差に強く、温厚な性格の牛でなければ放牧を行うことはできません。
また、草原を自由に動ける分、運動量が増えるため、肉質が筋肉質になり赤身の肉になることが特徴です。
もともと栄養分が少ない火山灰質の阿蘇地域を野焼きや牛糞で環境改善したことで広まっていった阿蘇の放牧。
豊かな湧水源がある阿蘇地域では、水田の農耕兼食用の牛として放牧が発展していったと考えられます。
放牧
では、放牧を行う利点は何でしょうか。”アニマルウェルフェア”の観点から見てみます。
”アニマルウェルフェア”とは、直訳すると”家畜福祉”。動物も最低限の福祉を得るべきという考えです。
家畜を飼育する中で、ストレスを与えたり、不快な環境に置くことは家畜の質を悪くすることにつながります。
つまり、牛にストレスを与えない放牧は、家畜にとって良い環境であるため、”アニマルウェルフェア”の一つだといえます。
また、ストレスフリーで育った牛は良質で旨みがある美味しい赤身に成長します。放牧は牛だけでなく人間にもメリットがあることなのです。
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